★『軍事研究』6月号


今回はロシアの軍需産業について掘り下げてみました。
装備品の価格高騰を巡る国防省と軍需産業の対立や、どうやら頭打ちが迫ってきた武器輸出、そしてプーチンの軍需産業改革案などを取り上げています。

★JB Press 「ロシア軍の悩みは、装備近代化よりも住宅問題」
装備近代化問題が大きくクローズアップされるロシア軍ですが、実は軍人の住宅供給も大きな問題になっています。
その現状をリポートして見ました。
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4/15現在品切れ中ですが、間もなく再入荷予定。
先日、ロシア国防省のスホルコフ第一国防次官が実施したブリーフィングで2012年度の装備調達(GOZ)に関する情報が出てきたので以下にまとめ。

★2012年度の国防省向けGOZ予算は6774億ルーブル
★4月15日の時点で、契約が結ばれたのは5207億ルーブル分(全体の約77%)
★これは「4月15日までにすべてのGOZを締結する」とした以前の目標には届かないものの、前年度あるいは前々年度の同時期における契約締結率(それぞれ50%と47%)と比べれば改善されている
★従来、2012年度のGOZ予算は7040億ルーブルになるはずだったが、250億ルーブル分削減された。ただし調達契約には変更はない
★締結済みの契約のうち、全GOZ予算の57%にあたる3865億ルーブルが前払いされる(。。。という理解でよろしいでしょうか?原文は "По условиям заключённых контрактов выплачено 386,5 млрд. рублей, что составляет 57% от общего объёма ассигнований на ГОЗ-2012. Этого результата удалось достичь за счёт распространения практики стопроцентного авансирования заключённых контрактов."なんですが自信がないのでどなたかご教示を頂ければ幸いです)

というわけで、全体的な状況としては、期限内の全GOZ締結はできなかったものの、昨年度以前よりはマシな状況である、といったところであろうか。
それにしてもこの記事のタイトルは「2012年のGOZはすべて予定通り」。
軍の機関紙「赤い星」だから仕方ないのかもしれないが、2割以上も契約の遅れた案件があるんじゃ全然「予定通り」じゃないだろう(笑)。

GOZの具体的な中身については、「RIAノーヴォスチ」のこちらの記事が詳しい。
これによると、昨年のGOZで大きな問題になったMIT(モスクワ熱技術研究所)から弾道ミサイル調達や、OAK(統一航空機製造会社)からの航空機調達に関しては今年は問題は発生していない。
一方、昨年は最後まで価格問題で折り合いがつかずに揉めた955型潜水艦については、今後の量産に向けた価格問題がまたぞろ持ち上がっているという。
記事(4月19日付)の中で、スホルコフ第一国防次官は、「来週には契約が結べるだろう」との見通しを述べているが、その「来週」は今秋の27日まで。
果たして価格問題で折り合いがつくのかどうか、注目していきたい。

なお、2012年の調達予定としては、「パンツィーリ」防空システム28基、航空機58機、ヘリコプター124機が予定されているという。こちらも果たして達成できるものかどうか動向が注目されよう。
軍事研究の5月号が出ました。
今回は、当ブログでも取り上げたプーチンの国防政策についての論文を取り上げています。
来月には大統領再任が予定されるプーチンの、脅威認識や国防のあり方に関する考えなどがまとまっており、来る第二期プーチン政権の行方を考える上での参考に供していただけましたら幸いです。





『独立新聞』によると、ロシアに新たな軍事組織「国家親衛隊(ナツィオナーリナヤ・グヴァルディヤ:Национальная гвардия)」を創設しようという動きが出てきているらしい。
5月に大統領就任を控えたプーチン首相が進めている国防見直しの一環として創設されるものだという。
母体は内務省の国内軍だが、国家非常事態省や軍の一部(空挺軍や、創設されたばかりの憲兵隊〔約2万人〕も含む)などを含めて、35-40万人もの兵力を目指すという。うち約80%は契約軍人になるとも伝えている。

このような構想は1991-1992年のソ連崩壊前後や、2009-2010年の内務省改革の際にも唱えられたものであるという。
それが今になって現実味を帯びつつある背景として、『独立新聞』は、次の3点を挙げている。

①「アラブの春」の経験(政権を守るためにはまとまった数の特別部隊が必要)
②選挙前にロシア各地で発生した大規模抗議集会や北カフカスの治安悪化(現在の武力省庁のみでは全面的に対応しきれない)
③いくら軍を増強しても当面、軍が戦うべき強力な外的相違は存在しない。一方、実際に内的脅威に直面している内務省国内軍の兵力は18万2000人と、(戦う相手の居ない)陸軍の2/5でしかない。

さらに『独立新聞』紙は、「国家親衛隊」の創設と並行して軍上層部の大規模な入れ替えをプーチン首相が計画しているらしいと報じている。
同紙の情報によれば、プーチン首相は最近、ロゴシュキン国内軍総司令官に参謀総長就任を持ちかけていたが、ロゴシュキンは断ったという。
このため、参謀総長にはシャマノフ空挺軍司令官、国防省には現在のスホルコフ第一国防次官を充てるという構想だと『独立新聞』は伝えている。
この際、マカロフは国防省内の別の要職に配置換え(プーチンが幹部を更迭するときによく使う手だ)するというが、セルジュコフの処遇については言及が無い。

さらに『独立新聞』は、「国防会議」なる新たな組織体の設置についても言及している。
これが現行の安全保障会議を基盤としたものになるのか、全く別の組織体となるのか、誰が率いるのかについては現時点では不明だとしているが、以上の内容が事実だとすれば、5月以降、ロシアの国防・安全保障は大きな変動の季節を迎えることになろう。
先日、ロシア空軍はイルクートとの間でSu-30SM戦闘爆撃機の長期契約を結んだとの関係者談話が報じられた。2015年までに30機が納入される予定であるという。

ところで昨年から始まった「2020年までの国家武器計画(GPV-2020)」では600機の航空機を購入する計画と伝えられるものの、その内訳が明らかでない。しかし、この種の長期契約に関する情報を積み重ねていけば、その大まかな内訳は推定できそうだ。
そこで、これまでに確定・ほぼ確定した長期契約を列挙してみる。

・Su-27SM3戦闘機×12機(2009-2011)
・Su-30SM戦闘爆撃機×30機(2012-2015)
・Su-30M2戦闘爆撃機×4機(+8機?)(2009-2011)
・Su-34戦闘爆撃機(1)×32機(2008-2013)
・Su-34戦闘爆撃機(2)×92機(2014-2020)
・Su-35S戦闘爆撃機×48機(2009-2015)
・MiG-29K艦上戦闘機×24機(2013-2015)
・Yak-130練習機×55機(2012-2015)
 合計・・・・・・・297機

一部、2009-2010年度のものも含まれているが、大部分は2011年以降(つまりGPV-2020の対象期間)の調達である。
Su-34の第二バッジを除くと大部分が2015年以前を納期としているので、去年から2015年までの5年間で大体200機程度の戦術機及び練習機が調達されると見てよいだろう。
すると、残る5年間でおよそ400機が調達されるという計算になる。このうち80機くらいはSu-34の第2バッジが占める筈だが、残りはどうなるだろうか。
おそらく、Su-30SM、Su-35S、Yak-130の第2バッジに加え、第5世代戦闘機PAK-FA/T-50の量産が(遅延しなければ)始まるだろう。現在の予定では、2020年までにT-50が60機程度調達されるとのことである(ロゴジン副首相の発言)。
また、12015年前後には新型輸送機Il-476やAn-70の配備も期待される。An-124の再生産も始まるだろう。輸送機という存在は地味ではあるが、機動性の向上に直結するため、GPV-2020の重点項目とされている。ロゴジン副首相によればIl-476シリーズ(空中給油型等含む)だけで2020年までに100機程度調達されるとのことなので、2010年代後半の調達は、輸送機がかなりの割合を占める可能性が高い。