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★統一航空機整備会社の設立とロシア空軍の稼働率

最近、雑誌やweb媒体の書き物が多くなってこちらではすっかりロシア軍がらみのニュース紹介をやらなくなっていたのですが、久しぶりに趣味に走ってみようと思います。

『コメルサント』紙にロシア空軍の稼働率に関するなかなか興味深い情報が載っていた。
これによると、ロシア空軍は全部隊が常時即応体制という建前になっており、したがって航空機稼働率は平均で80%を越えていなければならないが、全空軍を通した実際の稼働率は42%(戦闘部隊では49%)に過ぎないという。
特にTu-160及びTu-22M長距離爆撃機、MiG-25RB偵察機、MiG-29戦闘機、An-22及びL-410輸送機、L-39練習機、Il-80及びIl-82空中指揮機の運用部隊については20-25%という極めて低い稼働率に留まっているという。
L-410は最近チェコから調達し始めたばかりの軽輸送機であるから初期運用体制が整わないのであろうし、MiG-25RBなどは相当の老朽機であるから稼働率が低いのは分からないではない。
しかし、Su-27と並ぶ主力戦闘機MiG-29やL-39練習機までこれほど稼働率が低いのは相当の問題であろう。
(特にMiG-29については近代化改修を受けた34機のMiG-29SMT以外はほとんどまともに動いていない可能性がある)

ちなみに2013年の段階では、修理を必要とする航空機の数は実に696機にも上っていた。
今後、全空軍の装備の内70%は近代化され、2020年の時点で修理が必要な航空機の数は49機まで減少するというが、かなり気の長い話だ。
今後はSu-30およびSu-34戦闘爆撃機、Yak-130練習機、An-140及びAn-124-100輸送機、SSJ-100旅客機などが主な整備対象としてあげられているほか、既存機への近代化改修作業も実施される。主な近代化改修パッケージとしては、Su-27SM、MiG-29SMT、MiG-31BM戦闘機、Il-76PS-90(A)輸送機、Il-78M2空中給油機、Il-38哨戒機が挙がっている(Su-27からSu-27SM(3)への改修作業は続いているのかいないのか今ひとつはっきりしなかったが、これを見る限り継続中であるようだ)。

このニュースと関連して『コメルサント』が報じているのが、OAKが2018年を目処に航空機修理を一括して行う統一企業の設立を目指しているというニュースだ。国防省、内務省、FSB(連邦保安庁)といった軍事・治安組織の航空機整備・修理を一括して行う構想であるという。
ショイグ国防相は難しい整備業務については軍の整備部隊だけに任せず、メーカー側に任せる方針を打ち出しており、今年夏のモスクワ航空宇宙サロン(MAKS-2013)では840億ルーブルもの整備業務契約がOAKとの間で結ばれた。
(詳しくは軍事研究 2013年 11月号の拙稿を参照)
今回の統一修理サービス企業設立の動きはこうした方針の延長線上にあるもので、整備業務に関する資源を集中することで軍・治安機関の保有機の稼働率を上げることを目的としているという。

ただし、この種の企業としてはすでに「アヴィアレモント」社が存在している。
アヴィアレモントはセルジュコフ前国防相時代に設立された国営軍事役務企業「ロスオボロンセルヴィス」の傘下企業なので、OAKが航空機修理業務に進出すれば両社がバッティングしてしまう。
そこでOAKは100%出資の子会社「OAKセルヴィス」を設立し、アヴィアレモントから14の整備工場の管轄権を移管するのだという。
アヴィアレモントが潰れるわけではないらしいが(公式サイトによるとアヴィアレモント傘下には22の航空機整備工場がある)、上記のコメルサント報道によると同社は国防省に対して1150億ルーブルほどの債務を抱えており、その「カタ」として工場を持って行かれるようだ。
あるいは、航空機の整備利権が旧セルジュコフ系組織から取り上げられる過程とも見ることが出来よう。

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テーマ:国防・軍事 - ジャンル:ニュース

★最近の空軍関連ニュース

★極東にS-400防空システム配備
6月8日、カプスティン・ヤール演習場で極東のナホトカに所在する地対空ミサイル連隊にS-400防空システムが引き渡された。
S-400は最新鋭の防空システムで、これまではモスクワ周辺に2個連隊、カリーニングラードに1個連隊のみ配備されていた。
ただ、モスクワ周辺の2個連隊を除くと新規配備連隊はどうも1個大隊(ランチャー8両)の縮小編成になっているようだ。

★新型爆撃機を巡る動向
Tu-95MSやTu-160の後継としてツポレフが開発中の「長距離航空軍向け将来型航空機コンプレクス(PAK-DA)」だが、軍需産業を担当するロゴジン副首相が開発継続に反対しているとのニュースが伝わってきている。
防空システムの発達した現在では爆撃機は時代遅れというのがロゴジンの考えのようだが、メドヴェージェフ首相は、既存の爆撃機の近代化は限界に来ており、新世代爆撃機が必要であるとの見解を示している。
ちなみに現行のTu-160は以前からNK-32エンジンの異常振動や部品不足に悩まされていたが、現在、クズネツォフがTu-160用に新型エンジンを開発中であり、2016年から国家試験に入るという。PAK-DAの登場は早くても2025年頃と予想されるので、それまではまだ頑張ってもらわないといけないということだろう。

★ロシア空軍の長期契約まとめ

先日、ロシア空軍はイルクートとの間でSu-30SM戦闘爆撃機の長期契約を結んだとの関係者談話が報じられた。2015年までに30機が納入される予定であるという。

ところで昨年から始まった「2020年までの国家武器計画(GPV-2020)」では600機の航空機を購入する計画と伝えられるものの、その内訳が明らかでない。しかし、この種の長期契約に関する情報を積み重ねていけば、その大まかな内訳は推定できそうだ。
そこで、これまでに確定・ほぼ確定した長期契約を列挙してみる。

・Su-27SM3戦闘機×12機(2009-2011)
・Su-30SM戦闘爆撃機×30機(2012-2015)
・Su-30M2戦闘爆撃機×4機(+8機?)(2009-2011)
・Su-34戦闘爆撃機(1)×32機(2008-2013)
・Su-34戦闘爆撃機(2)×92機(2014-2020)
・Su-35S戦闘爆撃機×48機(2009-2015)
・MiG-29K艦上戦闘機×24機(2013-2015)
・Yak-130練習機×55機(2012-2015)
 合計・・・・・・・297機

一部、2009-2010年度のものも含まれているが、大部分は2011年以降(つまりGPV-2020の対象期間)の調達である。
Su-34の第二バッジを除くと大部分が2015年以前を納期としているので、去年から2015年までの5年間で大体200機程度の戦術機及び練習機が調達されると見てよいだろう。
すると、残る5年間でおよそ400機が調達されるという計算になる。このうち80機くらいはSu-34の第2バッジが占める筈だが、残りはどうなるだろうか。
おそらく、Su-30SM、Su-35S、Yak-130の第2バッジに加え、第5世代戦闘機PAK-FA/T-50の量産が(遅延しなければ)始まるだろう。現在の予定では、2020年までにT-50が60機程度調達されるとのことである(ロゴジン副首相の発言)。
また、12015年前後には新型輸送機Il-476やAn-70の配備も期待される。An-124の再生産も始まるだろう。輸送機という存在は地味ではあるが、機動性の向上に直結するため、GPV-2020の重点項目とされている。ロゴジン副首相によればIl-476シリーズ(空中給油型等含む)だけで2020年までに100機程度調達されるとのことなので、2010年代後半の調達は、輸送機がかなりの割合を占める可能性が高い。

ロシア空軍 2012年の航空機導入予定

11月25日に空軍のドリク報道官が発表したところによると、2012年のロシア空軍の装備調達は、航空機・ヘリコプターの新規調達・近代化改修合計で約90機になるという。
ドリク報道官の発言で触れられている機体は以下の通り。

MiG-31BM迎撃戦闘機(近代化改修)・・・約10機
Su-34戦闘爆撃機・・・10機
Su-25SM攻撃機(近代化改修)・・・約10機
Su-35S戦闘機・・・?
Mi-28N・Ka-52攻撃ヘリ・・・合計約20機
Mi-35M攻撃ヘリ・・・?
Mi-8系ヘリ・・・約30機
Mi-26超大型ヘリ・・・約5機

「約」の部分を無視して足し算すると、「85機+?」となる。
Su-35とMi-35Mは来年が初配備となるので、それぞれ2-3機程度のみ調達とすれば、合計で90機というつじつまは合う。
この発言で注目すべきは、まず、MiG-31BMへの近代化作業がようやくまとまった数で始まったことであろう。MiG-31BMはMiG-31の「ザスロン」レーダーを「ザスロンAM」仕様とし、探知距離の延伸や動作モードの追加、R-37長射程AAMの運用能力付加などを施したタイプであるが、価格問題で改修実施契約が結べていなかった。

Su-34については2010年が4機、2011年が6機であったので、調達数は増加傾向にあるようだ。ただ、2020年までに120機という目標(以前、ゼーリン空軍総司令官が口にしたもの)を達成するには、さらに調達ペースを挙げる必要があろう。

一方、疑問もある。
この調達予定の中には、Su-30M2戦闘爆撃機やYak-130高等練習機、「アンサート-U」練習ヘリなどが含まれていない。まさか調達しないことはないと思うのだが(特にYak-130とアンサート)。
また、セルジュコフ国防相が3月に述べたところでは、2011年の航空機調達は固定翼機35機、ヘリコプター109機とされていたが、これと比べても上掲の数字は少なすぎる(サドフィエフ空軍副司令官は固定翼機50機、ヘリコプター100機と述べていた)。特に2020年までにヘリコプター1000機という目標を本気で達成するつもりがあるなら、現状の調達ペースはまったく不足と言えよう。

ロシア空軍のSu-30シリーズ導入について

ロシア空軍のSu-30シリーズ導入について、ニュースが2件出てきた。

第一は、Su-30M2を今年中に8機追加購入するというニュース。
Su-30M2は2009年のモスクワ航空ショーで4機分の契約が結ばれ、昨年末にカフカスと極東に2機ずつ配備されていた。
これらの基地には近代化改修型のSu-27SMとSu-27SM3が配備されており、Su-30M2はSU-27SM/SM3を補完する訓練・攻撃型という位置づけと見られる。
国防省の発表によれば、このうちカフカスのクルィムスク基地に8機のSu-30M2が追加配備され、今年中に合計10機体制になるという。

第二のニュースは、Su-30SM戦闘爆撃機の調達である。
SU-30SMは今年のモスクワ航空ショーでイルクートのフョードロフ社長が言及した機体で、より戦闘爆撃機としての性格が強いと見られる。
フョードロフは、空軍に28機・オプションで海軍に12機という数字を挙げていたが、当時はまだ「交渉準備を行っている」という表現であったため、本当に空軍に導入の意向があるのかどうかは明らかでなかった。
しかし、今月8日にゼーリン空軍総司令官が行った記者会見で、同司令官はたしかに空軍が28機のSu-30SM導入を意図していることを認めた。
同司令官によれば、28機という数字は最終的なものではなく、とりあえずパイロットの訓練に用いる分である。早ければ2012年にも契約を締結し、同年中に最初の2機を受領したいとしている。
空軍はSu-34戦闘爆撃機の導入も進めているが、非常に高価であることから、Su-30SMとのハイ・ロウ・ミックスで調達を進めていくものと思われる。


それから宣伝です。
今月号の『軍事研究』に今年秋に実施されたロシア軍の大演習「ツェントル2011」について書かせていただきました。同演習は、2009年から始まった一連の大演習の第3弾であり、軍改革の成果や脅威認識を検討するうえで非常に興味深い演習でした。ご興味がおありの向きは是非にご覧ください。

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