★セルジュコフ国防相、契約軍人の減少を容認

今月23日、セルジュコフ国防相は、予算不足から契約軍人の減少を認めざるを得ないと発言した。
以前紹介したように、ロシアでは2008年から徴兵期間が短縮されたものの、これに代わるだけの契約軍人(志願兵)を雇用する資金の余裕がなく、結局は一回の徴兵人数を2倍以上に増やさざるを得なくなっていた。
一方、最近では、こうした傾向を「重大な誤り」(マカロフ参謀総長)と認め、契約軍人の増加を目指す動きも出てきていた。たとえばセルジュコフ国防相自身は現状の契約軍人数を15万人程度とした上で、今後は20-25万人程度まで増加させるとの意向を示していた。

しかし今回の発言は事実上、契約軍人の増加を当面は諦めることを意味している。
同じ23日の記事に引用されているスミルノフ組織・動員局長の発言によれば、今後の契約軍人数は兵・下士官併せて10万人程度まで縮小する見込みであるという。つまり増加どころか、現在の15万人という水準さえ大幅に割り込むことになる。
もちろん、この減少を埋め合わせるには、一度にさらに多くの若者を徴兵するか、かつてのように徴兵期間を1年半とか2年に戻すほかない。いずれも社会的な反発を呼ぶのは必至であろう。

ところで、ロシアの軍事支出は名目・実質ともに毎年着実な成長を遂げている。また、毎年の国防費の枠内には「連邦特別目的プログラム」として下士官の契約軍人化促進のための予算も組まれている。
だが、2008年の経済危機で軍事予算のカットを余儀なくされた際、国防省は装備調達費には手を着けずにおく一方、契約軍人化プログラム予算は削減対象とした。要するに、今のところロシア国防省にとっては老朽化した装備の近代化が最優先課題であり、契約軍人制への移行はこれよりも優先順位が低いのであろう。
さらに今後は、新装備計画GPV-2020のため膨大な予算(10年間で19兆ルーブル)が必要とされることから、相変わらず人事関係の予算は見通しが苦しいと予想される。
徴兵制からの脱却には、まだかなり長い時間がかかりそうだ。
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