★新型ICBMの配備計画と2011年の戦略ロケット軍

11月末、7月に戦略ロケット軍司令官に任命されたセルゲイ・カラカエフ中将の初の記者会見が行われました。
同会見で示された戦略ロケット軍への新型ICBMの配備状況と、今後の見通しについて、国防省の機関紙『赤い星』が報じた内容を以下にまとめてみてみました。


・タチシェヴォに6個目のサイロ発射型「トーポリ-M」連隊が発足した。配備は2011年も続く
・通常、サイロ発射型ICBM連隊には10基のICBMが配備されるが、これまでの通例では、まず連隊司令部とサイロ数基が配備され、その後10基まで増加していくことになる(この部分はカラカエフ司令官の発言ではなく、『赤い星』の解説)
・2010年初頭の段階で、テイコヴォ基地で、最初の道路機動型RS-24「ヤルス」装備連隊が試験配備についていた。同連隊は移動式指揮所と1個ミサイル大隊(筆者註:1個機動式ミサイル大隊は通常、ICBM×3基)を装備する
・これに伴い、道路機動型「トーポリ-M」の配備はこれ以上は行われなくなる
・テイコヴォには現在、2個道路機動型「トーポリ-M」連隊が配備されている。各連隊は機動式発射装置9基を備えることになっている
・2010年末までに、サイロ/道路機動式「トーポリ-M」とRS-24「ヤルス」を合計して約80基が配備される予定(筆者註:道路機動型「トーポリ-M」×18基、サイロ発射型「トーポリ-M」60基弱、RS-24×3基という計算か?RS-24の数字は今年初めのものなので、現在はもっと増えている可能性も大)
・現在、戦略ロケット軍に配備されているICBMは7種類で、うち4種類がサイロ発射型。この4種類でミサイルの45%、弾頭の85%を占める
・2011年は10回のICBM発射を予定している(2010年は4回)
・戦略ロケット軍の特徴は、高い即応性にある
・ICBMの生残性を確保する上で、道路機動型ICBMは重要
・今後の方向性としては、UR-100UTTKhおよびRS-20Vを代替するサイロ発射型重ICBMの開発が重要


全体的な方向性としては、とりあえずサイロ発射型ICBMは「トーポリ-M」で置き換えつつ、より重要な道路機動式ICBMについてはRS-24「ヤルス」への切り替えを図る方向と思われる。これは、今年4月に締結された新START条約が核戦力の構成について当事国に一任しており、START-Ⅰのような規制を設けていないことを受けての措置であろう(同条約について、詳しくは『軍事研究』誌6月号の拙稿を参照)。

しかし、米国が米露の相互核抑止を脱却して新たな核戦力に移行しようとしている中で、ロシアが必死に冷戦期と同様の即応体制や生残性を追求しているのは、やや奇異にも映る。
あちこちで指摘されていることでもあり、筆者も同じようなことを何度も書いてきたが、ロシアが「大国」としてのステータスを維持する上で、核戦力は重要なファクターであるためだろう。
裏を返せば、天然資源と核ぐらいしか、今のロシアには「大国」としての拠り所がないということにもなるわけだが。
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