★「ブラワー」SLBM第16回目の発射試験に成功

27日、ロシア海軍は「ブラワー」潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射試験に成功した。
発射は、潜航した原子力潜水艦「ユーリィ・ドルゴルキィ」からモスクワ時間の午前7時20分に行われた。今回は初めて最大射程距離で発射されたが、従来は「ブラワー」の最大射程が8000kmとされていたのに対し、「イズヴェスチヤ」の記事によると実際は9300kmも飛行したという。弾頭数や軌道によってはこの程度まで射程を出せるのだろう。

不具合の続いていた「ブラワー」だが、昨年から今年6月にかけての3回の連続発射に成功しており、今回は連続4回目の成功ということになる。
ひとまずは不具合の特定に成功し、ようやく実戦配備に道筋がつき始めた段階に入ったと見なせよう。
特に最大射程での発射を行ったことは、前3回に比べてより踏み込んだ試験が行われていることをうかがわせる。
なお、実戦配備までにはあと5-6回は発射に成功する必要があるとされている。
特に実戦能力を実証するためには、どこかで一斉発射(サルヴォー)試験を行う必要が出てくるだろう。
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★『軍事研究』9月号

『軍事研究』9月号に、ミサイル防衛を巡る米露関係についての記事を書かせていただきました。
冷戦期のABMから東欧MD計画、さらにはオバマ政権のEPAA計画までを対象に米露の戦略を考察するとともに、ロシア側のMD計画にも触れています。

ちなみに今月号は多田智彦氏のサンクトペテルブルグ海軍ショーのルポや、ロシア人研究者による「天安」事件についての投稿記事などもあって、プチロシア特集のような状態になっています(まぁ、彼女の天安事件に対する見方にはいろいろ疑問もありますが)。


★装備調達関連の話題まとめ(2)

先日の「装備調達関連の話題まとめ(1)」に続き、まとめ(2)です。
紹介しきれなかった話題をまとめました。


★艦艇関連
ヴィソツキー海軍総司令官は7月29日、新型駆逐艦の建造が来年にも開始できるとの見通しを示した。
これまで新型駆逐艦の建造は2016年以降とされていたので、事実ならかなり予定が早まったことになるが、やや(というかかなり)信じがたい。原文でも "может быть"(ありうる)となっているので、ヴィソツキー司令官の希望的観測がかなり混じった発言であるような気がする。
ちなみに、そのほぼ1か月前の発言では、ヴィソツキー司令官自身、新型駆逐艦の建造は2016年からになると発言していた。また、同発言では、この新型駆逐艦の動力が「9割方、原子力になるだろう」と述べている点も興味深い。
統一造船会社のトロツェンコ総裁も同様の見通しを示していることから、どうも「原子力駆逐艦」がロシアではかなり真剣に検討されているようだ。

艦艇関係の話題としてはもうひとつ、黒海艦隊の増強がある。
ロシア海軍が黒海艦隊の増強を最優先で進めていることは旧ブログでも書いたが、予定通り、2020年までに6隻の636型通常動力潜水艦を配備する由。発言者はやはりヴィソツキー司令官。
また、潜水艦関連では、885型攻撃型原潜が2020年までに8隻配備されるとの見通しも初めて公式に明らかにされた。


★空挺軍関連
「空挺軍」の日に際して、いろいろと情報が出てきた。
第一に、シャマノフ空挺軍司令官は依然としてBMD-4M空挺歩兵戦闘車とスプルート-SD空挺対戦車自走砲(実質上は空挺戦車)をあきらめていない
両者は昨年4月、ポポフキン国防次官の装備調達改革の過程で調達打ち切りが決まっていたが、空挺軍サイドは調達継続を強く求めていた。
ただし、シャマノフはBMD-4Mの納入時期は現時点では決まっていないとも認めており、依然として国防省・参謀本部の同意は得られていないものと見られる。
また、同記事の最後の部分では、新型の5軸および7軸の装軌車両についても概念研究が活発に行われていると述べている。BMD-4シリーズのさらに次世代を狙ったものなのかどうか、そのあたりの詳細は明らかでない。

また、イグナトフ空挺軍参謀長によれば、2013年以降には新型自走砲の配備も予定されている
これも中止されたスプルート-SDを代替するものなのかどうか、注目されるところだ。

イグナトフの発言でもうひとつ注目されるのが、「アンドロメダ-D」自動指揮通信システムだ。
これは師団司令部から兵士個々人までを結ぶ戦場情報システムで、すでに第76空挺師団で配備が始まっているほか、今後は第7師団、第98師団、第31旅団でも配備を開始する由。
陸軍向けのESU-TZと被るような気がするのだが、両者は相互に連接可能なのだろうか。

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★装備調達関連の話題まとめ(1)

先日お伝えしたように、装備品の価格があまりにも高騰している問題で、国防省は一部の軍需企業に対する装備調達費(GOZ)の執行を停止している。
当初、セルジュコフ国防相は10日以内に問題の解決策を報告するとメドヴェージェフ大統領に約束していたが、7月に入ってからプーチン首相はその起源を1カ月延長した。
しかし問題は構造的なものであって、その程度で解決策が出るものかどうかは疑わしい。
最初は「10日」だった期限を1か月も延ばさざるを得なくなったのも、問題の難しさを物語っている。
(この辺の背景については、いずれ何らかの媒体で詳しく掘り下げたいと思う)

それでも、装備調達の将来に関して幾つかの興味深い話題が出てきているので、如何に紹介したい。


★ブルガーコフ国防次官の発言まとめ
後方・装備担当のブルガーコフ国防次官によれば、ロシア陸軍は今後、イスカンデルM戦術弾道ミサイル・システムを2011-2020年の10年間で最大120ユニット以上購入する。
ちなみに2010年度の導入数は6ユニットであった由。
各ユニットは道路移動型で、2基の弾道ミサイルを搭載する。

また、同期間には、コルネット対戦車ミサイル発射機180基と車両360両も調達する。
コルネットを搭載する車両のほうが発射機の倍も多いが、おそらくは弾薬車や指揮官車などを含むためではないだろうか。何に積んでいるのかは明らかでない。
なお、コルネットは現在のところ世界最強クラスと目される重対戦車ミサイルで、イラクで米軍のM-1戦車を撃破した実績も持つ。
2010年の調達実績は発射機18基と搭載車両13両だった。

さらにムスタ-S152mm自走榴弾砲は、574両もの大量調達が行われる。
新型榴弾砲として開発されていたコアリツィヤ-Sが中断された穴埋めだろうか。詳細は明らかでないが、おそらくクラスノポール誘導砲弾などの精密攻撃能力が付与されているものと思われる。
2010年度の調達は36両。


★S-400関連
最新鋭防空システムとして配備が進むS-400については、2010年度中に2個大隊分(=16ユニット)が生産された。
S-400はすでにモスクワ郊外のエレクトロスターリに1個連隊(=2個大隊)の配備が完了しているが、今月中にもう1個、さらに今年中にもう1個の連隊が配備される予定になっている。
今年生産された分は、最後の1個連隊に配備されるものと見られる。
ところが、バルト艦隊で-400の配備が始まっているという匿名の海軍関係者の発言もノーヴォスチでは伝えられている。
バルト艦隊の母港は飛び地のカリーニングラードにあるため、防空用としてS-400が導入されることはおかしくないとも言えるが、はたしてそれほどハイペースで生産が進むものかどうかを考えると、この情報は少々疑わしい気もする。

★航空機調達
新型戦闘爆撃機Su-34の調達数は、今年度分は6機になる由
昨年は4機だったので、これで合計10機になる。
ただし、2008年末にノヴォシビルスク航空機工場(NAPO)が空軍と交わした5カ年調達契約では2010年までに32機を納入することになっていたので、このペースで行くと2012-2013年は年間11機ずつ生産しないと間に合わない計算になる。
これまでもNAPOは全くと言っていいほど空軍との契約を守ってこなかった前科があるので、今後の調達状況に注目したい。


とりあえず陸軍・空軍関係で最近ざっと出てきた話題をまとめてみた。
海軍・空挺軍関連については明日以降にでも。

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