★戦略ロケット軍のICBM調達数(続報)

先日のエントリで、今年のICBM調達数が合計10基になる旨をお伝えしたが、最終的にはどうも14基になるようなので補足。

カラカエフ戦略ロケット軍司令官によると、テイコヴォの戦略ロケット軍で2個目のRS-24装備連隊が発足した。
昨年、テイコヴォでは最初の連隊が2個大隊=ICBM×6基編成で発足していたが、これが今年8月に3個大隊=ICBM×9基)で完全編成に達していた。
さら今年12月には2個目の連隊に最初の1個大隊=ICBM×6基が配備され、今年中にもう1個大隊が配備されるという。
つまり、今年のRS-24の調達数は合計9基ということになる。
2009-2010年の年間配備数が3基ずつであったから、3倍になったわけだ。2009年の調達開始以来、最高のペースだ。
この連隊は来年中に完全編成(3個大隊)になり、さらにノヴォシビルスクとコゼリスクでもRS-24の配備が始まるという。

これまで新型ICBMの配備はテイコヴォとタチシェヴォ(サイロ発射型トーポリM)に限られてきたが、来年からはようやく他の基地でもICBMの近代化がはじまるようだ。しかもコゼリスクのRS-24は初のサイロ発射型だ。

その一方、タチシェヴォにはさらに3基のトーポリMが配備されて6個目の連隊を編成する。タチシェヴォでは2012年に6個目の連隊の編成を完了し、これでトーポリMの配備は完了するという。
テイコヴォには今年、すでに2基のトーポリMが配備されているので、トーポリMの配備数は合計5基ということになる。

すでに道路移動型トーポリMの配備は終了しているので、2013年以降、当面のICBM調達はRS-24に一本化される。
今後はICBM生産のリソースをRS-24に集中していく方針ということだろう。
そうなれば2012年度にはRS-24の生産はもう少し増えるかもしれない(4-5個大隊=12-15基くらい?)。

これまでロシアのICBM調達は年間11基が最高であったが、ICBMの老朽化による退役が続いているため、これをカバーするためにICBM調達数は当面、高いレベルで推移することになるだろう。
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★『軍事研究』1月号その他書き物

先週のことになりますが、『軍事研究』誌の1月号が発売になりました。
今月は毎年恒例の「今年のロシア軍事情勢総括」ということで、ロシア軍内の汚職の状況や9月にカムチャッカで行われた太平洋艦隊大演習の顛末、さらには装備更新を巡る騒動、憲兵隊創設を巡るポリティクスなど取り上げてみました。


それから、こちらはちょっとロシア語関係でお手伝いした程度なんですが、宝島社から『ファンタジー・ネーミング辞典EX』というものが出ます。
ゲーム開発者などを対象に、1万5600語の単語を13ヶ国語対照で掲載したもので、「幾何学」をアラビア語で言うと・・・?とか「聖母」はロシア語で・・・?とかなかなか楽しめる本だと思います。
付録として日英中露対照軍事用語辞典もついてます。

2011年のICBM調達数

11月19日、ロシア戦略ロケット軍のカラカエフ司令官が2011年のICBM調達状況を明らかにした
この発言によると今年はテイコヴォ基地にRS-24「ヤルス」道路移動型ICBM×2個大隊が配備されたほか、タチシェヴォ基地にRS-12M2「トーポリM」サイロ発射型ICBM×2基が配備された。
道路移動型ICBMは1個大隊=ミサイル3基なので、「ヤルス」の配備数は6基だったことになる(続報→9基になる可能性が出てきた)。
また、タチシェヴォには年内にさらに3基のトーポリMを配備予定とのことなので、ICBMの配備数(実験用等は除く)は合計10基となる。

ただし、START2を前提に非MIRV型ICBMとして開発された「トーポリM」とは異なり、「ヤルス」はMIRV化されている。
装備弾頭は3発とも4発とも言われるが、いずれにしても、今後は「ヤルス」配備数の3-4倍のペースで核弾頭が配備されていくことになろう。

ちなみに、新START条約に基づく米露の核保有数データが昨日、公開された。
これは今年9月1日時点のデータだが、運搬手段の減少傾向は相変わらず続いているものの、6月のデータと比べるとロシアの核弾頭数が29発分だけ増加している。
また、運搬手段の減少も5機/基に留まっている。
ながらく続いてきたロシアの核戦力減少が底を打ちつつあるのかもしれない。

一方、ICBMの調達が合計10発であったとすると、SLBMの調達分も含めても、今年3月にセルジュコフ国防相が掲げた「長距離弾道ミサイル35基」という目標には届きそうもない。
こうした軍需産業の生産能力や納期を巡る問題が、2012年以降の軍事力建設を巡る大きな課題となろう。

ロシアの国家国防発注増額に関する情報まとめ

★2012年度の国家国防発注(GOZ)
今年はロシア軍の装備調達を巡って大きなスキャンダルが持ち上がったが、装備更新がロシア政府の重要課題である現状には変わりはなく、来年も巨額の装備調達費が支出される予定である。
問題はその額だが、発言者によって数字が全然違うので、以下のように整理してみた。

①セルジュコフ国防相(7月6日)
2011年のGOZは5815億ルーブル。うち18%にあたる約1000億ルーブルが、装備価格高騰のために執行停止された

・プーチン首相(11月14日)
 国防の項目における装備調達・修理・近代化改修・研究開発のための費用は、2011年が7500億ルーブルであり、2012年には8800億ルーブルとなる

・イワノフ副首相(11月24日)
 2012年の連邦軍およびその他の準軍事組織向けGOZは、前年度から17%像の1兆1090億ルーブルとなる。213年までの3年間で合計4兆ルーブルを支出

④イワノフ副首相(11月24日)
2012年のGOZは総額1兆7690億ルーブル。2013年が2兆2360億ルーブル、2014年が2兆6250億ルーブル。2011年は約1兆5000億ルーブルだった

バラバラである(笑)。
まず①と②の差額については、①が装備調達(おそらく修理・近代化費用も含む)のみを示しており、②は研究開発(NIOKR)まで含んでいるためであろう。

②と③については、③におけるイワノフ副首相の発言からも分かる通り、軍だけでなくその他の準軍事組織まで含めた額なのだろう。ただし、イワノフ副首相は「兵器および軍事・特殊装備を有する軍以外のの部隊、軍事編成および組織」と述べており、具体的にどの組織を対象したものなのかを明言していない。
さらにこの額の中に研究開発費が含まれているのか否かも明らかでない。

そこで問題になるのが③と④の差額だ。
④の記事によると、GOZは国防省、連邦保安庁(FSB)、内務省(MVD)、国家非常事態省(MChS)、連邦警護庁(FSO)、対外諜報庁(SVR)、連邦麻薬取締庁(FSKN)、連邦刑執行庁(FSIN)、特殊建設局(スペツストロイ)、原子力公社(ロスアトム)が支出対象になるという。
国防省向けGOZの全額が8800億ルーブルであることを考えると、それとほぼ同額のGOZが他省庁向けに支出されているということになるだろうか。
しかしイワノフ副首相は③で、準軍事組織向けのGOZも含めて1兆1090億ルーブルと言っているわけで、④の数字はやや多すぎという気がしないではない。
それとも③は軍・準軍事部隊の調達費だけの合計であり、④は研究開発費まで含んでいるのだろうか?しかし財務省の作成した予算案によると、2012年の軍向け研究開発費は2550億ルーブルとなっている。とするとその他の省庁向け研究開発費は4050億ルーブルということになるが、ロスアトム以外にはさほど多額の研究開発費を必要としそうな機関は見当たらない・
また、④の記事でイワノフ副首相は軍需産業への国家補助金について言及しているが、このあたりの費用がGOZに含まれているのかもしれない。
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