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★ロシア軍が北方領土駐留兵力の増強へ その実態は?

今月10日、メドヴェージェフ大統領は北方領土訪問を終えたばかりのセルジュコフ国防相と会談した。
この会談の中で、メドヴェージェフ大統領は北方領土を「戦略的地域」と位置付けた上、その防衛のために最新兵器を配備するべきだとの見解を示した。


現在、北方領土に駐留しているのは第18機関銃・砲兵師団の約3500人と見られる。
名目上は3個連隊編成ということになっているようだが、事実上は1個旅団規模と見ていいだろう。
装備状態も劣悪で、去年までは依然としてT-55戦車を使用していたほか、装甲車はMT-LV、火砲に至っては何と1938年採用のM-30という博物館のような状態であった。
また、ソ連時代には択捉島のブレヴェストニク飛行場にMiG-23戦闘機がおよそ40機ほど駐留していたが、すでに全機撤退しており、現在は陸軍航空隊のヘリコプターや小型輸送機(An-72など)程度しか配備されていないと見られる。


しかし、択捉島の戦車部隊については昨年12月にT-80BVが配備されたと伝えられる。これも決して新型とは言えないが、T-55に較べれば、現代的戦車として最低限マトモな水準を満たしてはいる。
また、セルジュコフ国防相が前述の会談で述べたところでは、ブレヴェストニク飛行場を拡張してより大型の航空機が着陸できるようにするという。実現すれば、ロシア本土やサハリンから増援兵力を送り込む際や、逆に北方領土の兵力が他地域へ展開する上での大きなアドヴァンテージとなろう。
想定されている機種はロシア空軍の標準的な大型輸送機Il-76とされるので、その大規模改良型であるIl-476やひとまわり小さなAn-70(いずれも開発中)なら充分運用可能だろう。


今後のさらなる「増強」計画についてはまだ明らかでないが、筆者がフォローしている限りでは、次の四通りの見解が見られる。

①戦車はT-80BVのままで充分。その他の装甲車両を近代化(前極東軍管区司令官ユーリィ・ヤクボフ大将)
②S-400防空システム、「バスチョン」地対艦ミサイル・システム、Su-35S戦闘機などを配備(『国防』誌編集長イーゴリ・コロトチェンコ)
③S-400は配備しない。代わりに師団を旅団に改編(Interfax, 国防省および参謀本部情報筋の話として10日と15日に報じたもの)
④S-400を含む防空旅団を配備。第18は師団編成は維持し、旅団化はしない。兵力は3500人規模のまま(RIA Novosi, 参謀本部高官の談話として15日に報じたもの)

まぁ見事に錯綜している。
とりあえず、最も信憑性が高そうで、他の情報との矛盾が無いのは①だ。
とにかく第18師団の通常兵器は旧式化の極みに達している。最新鋭の兵器とはいわずとも、歩兵戦闘車ならBMP-2、火砲なら2S19などロシア軍で標準的に使用されている兵器の中から予備を支給してやるだけでかなりの近代化になるだろう(T-80BVの配備はまさにこうした発想に基づくものと言える)。


一方、ほとんど論外と言えるのが②だ。明らかに思いつく限りの最新兵器を適当に列挙しているだけで、根拠が稀薄いである。
こうなると、焦点は③と④であろう。S-400は配備されるのか?旅団化は実施されるのか?が今後の注目点となろう。
(個人的な感想としては、S-400の配備は怪しいと思う)


ただ、いずれの情報においても、爆撃機や弾道ミサイルなど、攻撃的な兵力を配備するという見解は見られない。また、②を除けば戦闘機部隊の再配備もやはり視野に入っていないようだ。
対岸に展開する自衛隊の戦力を考えれば、今回の「北方領土軍備増強」が軍事バランスに深刻な影響を及ぼすものとは考えにくい。
昨年末以降のメドヴェージェフ大統領以下政府高官の連続訪問と併せて考えれば、何らの政治的ショウ・アップの一環と考えたほうが筋は通るように思う。
まずは冷静にロシアの出方を見極めたい。
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