★2010年度秋季徴兵概観

先日のエントリでロシアにおける契約軍人制への移行が大幅に後退しているとお伝えした。
契約軍人(志願兵)が減少すれば、当然、その分は徴兵で補う必要がある。
さらに2008年から徴兵期間が1年間に短縮されたこともあり、徴兵人数は増加傾向にある。

2010年に関して言えば、春季徴兵が27万600人で、9月に行われた秋季徴兵が27万8800人であった。
合計で54万9400人である。
57万1500人であった2009年度よりは2万2000人ほど少ないが、35万2200人の2008年度よりは大幅に増えている。

これだけの人数を集めるとなると、これまでは徴兵を免除されていた層(大学生など)や徴兵逃れをしていた層にも徴兵に応じてもらう必要が出てくる。
そのため、今回の秋季徴兵では、次のような新機軸が打ち出された。

★徴兵対象者の両親が徴兵検査に立ち会えるほか、勤務地に関する情報を得ることができる
★訓練期間中は自宅付近に配置される
★週5日勤務と食後の休憩の義務化
★兵士の権利を保護する観察官の導入
★調理・洗濯業務の免除
★携帯電話の使用を許可(内規により制限を受ける場合あり)

全体的に、軍隊内でのいじめ対策や生活環境の向上をアピールしているようだ。
ただ、筆者の廻りで実際に徴兵に応じた人に話を聴くと、駐屯地内に売店が無く、厨房で供される食事(すごくまずい)以外には腹が減っても食べるものがないのがつらかったとこぼしていた。依然、決していい環境とは言えないのだろう(コンビニまである自衛隊の駐屯地を見せたら気絶するかもしれない)。
また、携帯電話は以前からみんなこっそり持ち込んで使っていたそうで、これを後追い的に追認したものとのようだ。
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