★『赤星通信』第5号 「ロシア軍、実は大幅に定員割れ?」配信

旧ソ連・ロシアの軍事・安全保障情報をお届けする「赤星通信」の第5号が配信になりました。
今回は、ロシア軍の総兵力が定数の100万人を大幅に割り込んでいるのではないか、という話を掘り下げて長文論説記事形式にしてみました。
なお、この号までが創刊までの号外扱いで、次の6号が正式の「創刊号」ということになります。

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★赤星通信 第5号 ロシア軍、実は大幅に定員割れ?
2012.8.27



 ロシア・旧ソ連諸国の軍事・安全保障情報をお届けする「赤星通信」の第5号です。
 今回はモスクワから戻って初の配信です。以前から定数(100万人)割れを指摘されていたロシア軍ですが、それが言われていたよりさらにひどいのではないか、という話をお送りします。
 いつもは複数本の短い記事でしたが、今回は長い論説記事めいたものにしてみました。



目次
★ロシア軍、実は大幅に定員割れ?
★編集後記



★ロシア軍の総兵力は66万人?
 
 少し古い記事なのだが、ネットで探し物をしていると興味深い話に出会った。
 『ヴェードモスチ』紙の6月9日付け記事で、ロシア軍の定数は100万人のはずなのに実際の兵力は66万人しか居ないのではないか、という衝撃的な内容だ(有料記事だが、軍事系シンクタンク「戦略・技術分析センター」のサイトに転載されたものを閲覧可能。http://periscope2.ru/2012/06/10/6027/)。

 ロシアでは2009年から徴兵の年限を2年から1年に短縮したものの、それに伴って徴兵の数がこれまでの倍も必要になってしまった。
 2006年には25万人弱だった年間徴兵数が、2010年には56万人にも膨れ上がったのである(この辺については以前、JB Pressに詳しく書いたので参照されたい。閲覧無料。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4914)。
 ところが、このような大量動員はすぐに行き詰まる。2011年度の春期徴兵は21万8720人と前回から約8万人減、秋期徴兵では13万5850人とさらに約8万人も減少したのである。
 これについてセルジュコフ国防相は、「これは契約軍人(志願兵)制への以降に伴うものであって問題ない」などと発言したが(http://www.ria.ru/defense_safety/20111231/530333006.html)、どう見ても大嘘である。
 後述のように、徴兵を代替する契約軍人の数はまだまだ少なく、一気にこれほど兵士を減らせば軍の人員構成がめちゃくちゃくになることは明らかだ。
 むしろ同じ記事の中でマカロフ参謀総長が率直に語っていることのほうが面白い(以下、引用して翻訳)。
「我々が徴募できるのは若年人口の11.7%である。このうち60%は健康上の理由で除外される。というわけで、我が軍はほとんど誰も徴募できないということになってしまっている」

 マカロフの発言は、二つの問題を背景としている。
 第一は、上記の記事中でも触れている通り、1990年代の混乱期にロシア人が子供を生むことを手控えたために2010年代に徴兵適格年齢に達する若者の絶対数が大きな谷になっているということだ。
 具体的には、これまでは毎年70万人の男子が新たに徴兵年齢に達していたが、最近ではこれが55万人に落ち込んでいる。
 したがって、そもそも徴兵対象者そのものが非常に少なくなってきているのだ。
 この問題は以前から軍事評論家のゴーリツが指摘していたことだが、ついにそれが現実になりつつあると言える。

 第二に、健康上の理由で60%もの若者が徴兵を免除されているという点だ。
 一見するとロシアの若者が異常に不健康なように見えるが(保健行政にいろいろ問題があることもたしかだが)、いくらなんでもこれはちょっと考えにくい。
 徴兵逃れの一環として偽の診断書を出すことが一般的になっているためと考えられるだろう。
 ちなみにロシアの徴兵制はかなりいい加減で、徴兵委員会が対象者の自宅まで出向いて出頭令状を渡すが、対象者が家に居なければハイそれまでよというシステムである。
 筆者の知り合いの若者は「要するに徴兵期間に家に居なきゃいいんだよ。ダーチャ(郊外の別荘)でのんびりしてりゃいいのさ」と語っていたが、そんなことで徴兵逃れが出来てしまうなら、よほど愛国心のある若者か、貧しくて口減らししなければならないような家庭以外は徴兵に応じまい…

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